「商品やサービスの名前なんて どうでもいいや!」なんて考えていませんよね。
自社の商品やサービスに対してどのような名前をつけて(ネーミング)提供するのかによって、売上高に大きな差が出てくると言われており、いろいろなテストマーケティングで、そのことが証明されています。
品質面(使用材料、形態、調理時間、味覚、感触等)ではまったく同じシュークリームを5つに分け日本の年代構成や性別等がバランスを踏まえ、選ばれた100人が、小人ずつ会場に入り(一遍にやると多くの人が選んだものに引きずられる)5つのネーミングの印象だけで、シュークリームを選ぶというものです。
その5つのネーミングとは
「ふわとろ」 「生」 「北海道産」 「プレミアム」 「もっちり」
でしたが、トップは「プレミアム」で、次が「北海道産」でした。3位は「生」、4位同数で「ふわとろ」「もっちり」でトップと4位では5倍程度の差が出ていました。
ネーミングの良し悪しが、売上に大きな影響を与えるという事実が証明されたのだと思います。
私たちは売上を伸ばそうとするとき、商品そのものの品質、包装形態等物質的側面に、資金と時間を使いがちですが、それと同等以上に「ネーミング」にエネルギーを使い、「顧客の気持ち」にマッチしたネーミングをつけていただく必要があります。
ちなみに、コンビニではスイーツの売場が昨今注目を浴び、各社、季節に合った商品の開発と次のようにそのネーミングに力を入れておりました。
プレミアムあまおう苺のロールケーキ ローソン
つぶつぶ果肉のいちごシュー 7-11
苺のプリンアラモード ファミマ
ぷちもちシュー いちご味 サークルkサンクス
窯出し とろける苺プリン サークルkサンクス
なお、某高級スーパーで「北海道産えびすかぼちゃのプレミアムチーズケーキ」とネーミングがありましたが、北海道産 プレミアム というキーワードが2つ使われており、少々名前が長くなっているので却って印象が薄れてしまうかも知れません。こうした場合は、ネーミングとしては「プレミアムチーズケーキ」とし、セリングポイントとして「北海道産えびすかぼちゃ」でPOP等に記載したらどうでしょうか。
そうするとプレミアムの意味あいも明確になると思います。
どのような 言葉をネーミング(セリングポイント含む)として選ぶのか、創りあげるのか、そこが知恵の絞りどころですが、注意点としては次のことが上げられると思います。
1. 先ず、自分で商品の「特徴」や「らしさ」が消費者に伝わるネーミングをいくつか考えてみる。
2. 次いで、家族、友人等幅広い年代層に商品の特徴・らしさを伝え、好みのネーミングを聞いてみる。
3. 常日頃、どのようなネーミングが使われているかを把握しておく。
テレビコマーシャル 新聞広告 電車内・バス内広告 スーパーのチラシ コンビニ・特定売場
*月毎又は季節毎に意識して把握するとよい。
4. 時代時代によってよい印象を与える言葉に変化があり、年代・性別によって異なる場合もあるので主要顧客に適合したネーミングをこころがける。
5. ネーミングが過大広告にならぬよう、実際に即したものにするよう留意する。
*北海道産○○の場合 全部又は一部が北海道産又は原料を使用している必要がある。
平成28年9月24日
一般社団法人神奈川県中小企業診断協会
登録グループ・マーケティング実践研究会
上原英一