課題解決手法「行動観察」を売り上げ拡大に活用しよう

 「行動観察」について紹介します。「行動観察」の方針は、①必ず現場へ行って、人間の行動を観察し、②根拠のあるソリューションを提案することで、売り上げ拡大や付加価値向上、生産性向上などの課題を解決する手法です。

実際には、「観察」、「分析」、「改善」のステップで進めます。その中で生まれた仮説とその検証を短期間に行うことが重要になります。また、各ステップでは、心理学(環境心理学や社会心理学)、人間工学(人間の特性や制約)、エスノグラフィー(フィールドワーク:文化、価値観、習慣、風土など)表情分析などの学問の成果を活用します。

 事例として、ある大手の本屋さんの売り上げ拡大について紹介します。

「観察」の結果、お客さんは「目的買い」、「息抜き買い」、「ひまつぶし」に分類されました。「ひとは選択肢が多すぎると選択することそのものを回避する」(決定回避の法則)、人は皆「ある程度自信過剰である」などの知見を活用します。今回のソリューションは「ひまつぶし」のお客さんに情報提示して購買率を高めることとし、改善方針として、①ビジネス雑誌の見せ方を工夫する。②情報を整理し、効率的に知らせる工夫をする。③入りたくなる店舗の見せ方を工夫する。ことを提案しました。具体的な改善では、店のリニューアルを兼ねて、書店の中にメインストリートをつくり、いろいろな本を試し読みができるコーナーを設置するなど、「本との出会いの創出」を演出することで売り上げ拡大につながりました。

 「行動観察」は、初めは専門家の指導を仰ぐことがお勧めです。「行動観察」の要点は、①自分の価値観から自由になり、②より深く人間について知ることであり、それにより「本質を理解すること」をベースにしており、いろいろな分野で有効な課題解決手法と考えられます。どうぞチャレンジしてみてください。(参照:ビジネスマンのための「行動観察」入門、松波春人著、講談社、2016年)

 

平成281213

一般社団法人神奈川県中小企業診断協会

登録グループ マーケティング実践研究会

岡田 章